この章の説明
この章ではWindowsパソコンに常駐させ動画変換を行わせるAmatsukazeの説明を行いたいと思います。
Amatsukazeとは
ここで説明されているようにAutomated MPEG2-TS Transcoderでこのソフトに投入した録画したTSファイルを解析してCMカット及び動画圧縮してくれる便利なソフトです。
TSファイルは録画元という事もあり高精細ではありますがいかんせんファイルサイズが大きいのがデメリットです。このファイルではいくら保存用HDDを追加しようが入る数が限られてきます。
そこでいらない情報部分やCMなどをカットし、TS(MPEG2形式)からMP4またはMKV形式に圧縮変換しましょうというソフトです。
目標
ここでは私が保存用として変換している方式を目標とします。細かい微調整はいくらでも可能なのでここで基本部分を作成してから弄っていく事をお勧めします。
目標サイズ
私の視聴環境としてはフルHDサイズでノイズが目立たない程度の再生を目標としています。
具体的には1280×720のサイズにリサイズさせています。このサイズであればPCでフルHD視聴でも問題はないと考えています。またスマホなどで見る場合もこの程度であれば転送後電車で視聴などでも問題ない程度のクラスだと思います。
形式
TSから字幕があればその字幕を。さらにニコニココメントを一緒に動画再生時に表示させる事にしています。その為動画そのものが見たい時に字幕等を切り替えれるようソフトサブで埋め込むようにするためMKV方式にしています。私は一応Android端末及びiPadで視聴できるこの形式を選択しています。
出力fps
ここは結構悩みました。もともとTSファイルは60fpsインタレース処理(以後60i)で送られてくるのですが変換時に色々選ぶことが可能です。60iからフレームを60プログレッシブ(以後60p)にして滑らかさを狙うか、もともとインタレース部分は補完処理の為30プログレッシブ(以後30p)にしてしまう方法もあります。さらにアニメしか見ないよと言う方もいらっしゃって24プログレッシブ(以後24p)にして極力出来上がりファイルサイズを減らす人もいます。
私は時々実写ドラマなども録画するので24pは厳しいと感じていて、かと言って60p程滑らかさを追求したい訳でもありません。という事で30pを選択しました。これならどの番組でも視聴する事で言えば問題ありません。
インタレース処理
これは先ほどの60iでインタレースを保持するかどうかの問題です。人によってはインタレースは保持したいという方もいるのですが、私的には「補完」という意味でとらえているのでインタレースを除去を選んでいます。
環境
それでは目標も決まった事ですし環境をもう一度おさらいしておきます。
なおこの端末はRPi4とは別に用意して下さい。本当は1台で済ませたいのですが録画もして変換もしてとマルチな事を行おうとすると大抵失敗します。
OS
申し訳ありませんがここは今のところWindows10一択です。HomeでもProでも構いません。Windows7やWindows8.1でも動くと言えば動くようですがこの後説明するQSVの制限があるので最新ドライバがインストールできる環境という事です。
システム環境
上記OSがベースとなるのですがこの後の環境次第で第4世代(コードネームhaswell世代)IntelCPUを搭載したMicroATXサイズのデスクトップを選ぶか同CPUを搭載したノートPCを選択して頂きます。最近の市場を見るとデスクトップなら中古で5千円程度で手に入れる事も出来るようです。これより古いCPUではQSVという恩恵を受ける事ができないので選ぶ際は注意して下さい。予算が許すならばもう少し上位を選んだ方が高速になります。
又はGPUとしてGeforceGTX1050以上を搭載した機種を選んでもかまいません。その際はNVENCというQSVとは違う方式でハードウェアアクセラレーションの恩恵を得られるのでそちらを選んでも構いません。この解説ではNVENCの説明は行いませんがQSVより高速に変換を行う事が可能となります。
HDD容量は500GBもあれば問題は無いでしょう。
メモリは8GBもあれば問題ありません。
ネットワーク環境
ここも重要です。ギガビットイーサーの端末を選んでください。転送速度により効率がかなり違います。第四世代であれば大体ギガビットイーサーを積んでいると思われます。
設定
それでは早速設定を行って行きましょう。
Windows10に慣れていることをベースで書いているのでわからない部分は別途別サイトで調べながら行って下さい。
OSを最新状態にする
基本ですが忘れがちです。各種ドライバの更新、セキュリティパッチなど最新にして下さい。この事によって自動的にQSVが利用できるようになります。
IPアドレスを固定化する
これをしないとRPi4からどのサーバーへ録画データを投げるか固定化できません。IPアドレスを固定化して下さい。Windows10のIP固定化は様々な別サイトさんで紹介されていると思いますのでここでは省略します。
Amatsukazeをダウンロード及び配置
Amatsukazeのダウンロードサイト
から最新のAmatsukazeをダウンロードします。インストーラーが無いのでファイルを展開して配置するだけです。執筆時最新ファイル名はAmatsukaze_0.9.1.4.7zです。7Zip形式で圧縮されているので別途7Zipなどのソフトをインストールして解凍して下さい。ここでは解説の為C:\APL\Movie\Amatsukazeというフォルダを作成してそこに解凍されたとします。
QSVEncCのダウンロード及び配置
ここではQSVを前提で執筆しています。まずはここからファイルをダウンロードします。
ここの「QSVEnc ダウンロード>>」からgoogle Driveに飛びますので「QSVEnc_6.09.zip」をダウンロードします。ダウンロードしたファイルを解凍してC:\APL\Movie\QSVEncに配置して下さい。ちなみにQSVEncは本来AVIUTLという動画編集ソフトで利用できるファイル群ですが今回はその中の一部を利用させていただきます。
NicoConvAssのダウンロード及び配置
このソフトはニコニコ放送で生配信している所で動画を見ながら皆がコメントを書き込む事が出来る場所なのですがリアルタイムでその場面の感想等が見られてとても面白い物です。このコメントだけを取り出すためのツールです。
ここからNicoConvAss v1.51bをダウンロードします。解凍してC:\APL\Movie\NicoConvAssに展開して下さい。そして一度NicoConvAss.exeを起動させ初期設定を行って下さい。特に設定はありません。iniファイルが作成されたら終了して下さい。
Amatsukaze.vbsの実行
基本設定
初期設定を行う為単体で動くAmatsukaze.vbsを実行します。普通実行というとexeファイルですがこのソフトはvbsで作られています。実行すると以下の画面が表示されます。
そして
左上部の基本設定(マウスで選択している所)を押して基本設定を開きます。
変更する箇所は赤枠で囲っています。一時フォルダは一番重要でここに読み書きできるユーザーでなければなりません。私はわざと変更を加えています。そして開始時に一時フォルダを空にするをチェックします。またエンコード中スリープされては困るのでチェックを入れます。またQSVEncCパスはファイルをドラグアンドドロップで持っていけばパスを書き換えてくれます。ターゲットは”C:\APL\Movie\QSVEnc\QSVEncC\x64\QSVEncC64.exe”です。同様にNicoConvAssも設定して下さい。ターゲットは”C:\APL\Movie\NicoConvAss\NicoConvAss.exe”です。
出来上がりはこんな感じになるはずです。
基本設定は終わりで右下の適用ボタンを押してください。
プロファイル
左上のタブのプロファイルを選択します。
まずはプロファイルの右にあるプルダウンから「サンプル_QSVEnc-720@60p」を選択します。するとQSVの設定が一覧で変更されます。この中からIntel第四世代で動く設定にしていきます。
一応サンプルから引き出したので対応されているとおもいますが「エンコーダー」を「QSVEnc」にして下さい。
まず「エンコーダー追加オプション」を変更します。第四世代では利用できないコマンドが含まれているからです。ここを
--avhw --vpp-deinterlace normal --output-res 1280x720 --icq 23 --gop-len 300
とします。また「MPEG2デコーダー」を「QSV」H264デコーダも「QSV」にして下さい。出力フォーマットはMKV出力選択を「本編とCMを分離」にして下さい。そして下の方でフィルタ設定を「フィルタなし」に。その下の方ニコニコ実況コメントの「ニコニコ実況コメントを有効にする」にチェック。その横「エラーを無視」のチェック。「NicoJKログから優先的にコメントを取得する」をチェック。「NicoJK18サーバーからコメントを取得する」をチェックコメント字幕出力フォーマットを1280×720サイズの通常と半透明をチェック。その下の1920×1080はチェックを外します。「関連ファイルも処理」をチェック「チャプター・CM解析を無効にする」のチェックを外す。「字幕を無効にする」のチェックを外す。「マッピングにないDRCS外字は無視する」のチェックを入れる。「ロゴ消ししない」のチェックを入れる
ここまで終わるとこんな感じになるはずです。
上記設定が出来たら左上の新規ボタンを押して名前を「QSVEnc-720@30p」として保存します。後ほどRPiから呼ばれる名前になるのでなるべく同じ名前になるようにして下さい。
その後右上の×でウィンドウを閉じて下さい。
AmatsukazeServer.vbsをWindows10の起動時に自動起動させる
AmatsukazeServer.vbsのショートカットをshell:startupに作成します。自動起動させるためです。
終わりましたらAmatsukazeServer.vbsを起動します。
エラーが出ていなければ最小化してタスクトレイに入れておいて下さい。
今度はAmatsukazeClient.vbsを起動します。
そうすると先ほどAmatsukazeを起動した時と同じような画面が表示されたと思います。違いはここ
接続先を押します。ここをAmatsukazeServer.vbsが動いているIPアドレスにします。この状態で先ほど各種設定を変更したものが反映されているかどうかを確認して下さい。ここでも修正する事が可能です。
初期設定はここまでです。今度は連携部分を説明して行きたいと思います。
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